マリーアントワネット展とカリグラフィー

カリグラフィー好きの皆様こんにちは

現在開催中のマリーアントワネット展はもうご覧になったでしょうか?

ベルサイユの薔薇漫画により
日本人にとってマリーアントワネット人気は不動の物ですね。

さてその展示会に多くの調度品や絵画の他にも今回
注目すべき1点を発見しました。
それがこちら
「文字の練習帳」
王族一家が、フランス革命後に囚われたタンプル塔(もしくはテュイルリー宮殿)で
ルイ16世が息子ルイシャルルに教えていたという字の練習帳。
王の教育熱心さなどの注釈がついていたと思います。
その他の説明は
展示場にはあまり無かったのですが
カリグラファーにとってはじっと
見入ってしまう一点でしたので
ルイ16世が息子に教えたという解釈を元に
私の視点から少し想像を膨らませ解説をさせて頂きます。


文字は
Nationnalement aime
'国民に愛される'
とひたすら書かれています。
やはり監視の下という事からなのでしょうか。

まず一番最初の①Nを見てみると
イタリック体やカッパープレート体を
ご存知の方は、ストローク(線)の美しさを感じる事が出来ると思います。

続いて、3行目の頭の②Nと比べますと、筆跡の違いがお分かりになるでしょう。
つまり1行目が見本、ルイ16世が書いた(?)と思われる文字、3行目が後のルイ17世の文字ではないかと推測されます。

2行目の③Nの形が違うのは
こうも書けるよ、とデザインを提案しているよう。これも線の太い細いの強弱が付いていて、カリグラフィーの基本を捉えています。
続いて4行目の文頭の④Nは少し未熟さを感じます。

⑤のmはストロークに癖が出始めていますので、修正したい部分と
考えておりますと
キチンと⑥で直しが施されています。

⑦の隣に⑧が並んで書かれているのも
筆跡が違うので、
王太子の隣でルイ16世が付きっ切りで
指導していた情景が浮かぶように感じます…。

何とも微笑ましく、そして
後に各々が待ち受ける運命を思うと
何とも言えない気持ちになります。

さらに注目すべきなのは
1789年フランス革命が起きた時、
王太子ルイシャルルは4歳。
ルイ16世がギロチンにかけられたのが
1793年ですので
練習帳はその間に書かれたと考えれば
当時、たった4歳〜8歳の子供が書いたものだという事。

その位の年齢ならば
筆圧の調整などは難しく
ましてや羽ペンなどの細ペンは
さらに難易度を増すはず。

子供ながらにかなりの知性と早熟さを兼ね備えた
人物であった推測されます。

マリーアントワネット展は
東京開催は森アーツセンターで
来年2月27日まで開催中です。

ひっそりと置かれた練習帳にも
是非注目してみて下さい。

’魅せるカリグラフィー'

ヨウコフラクチュールでした( ´ ▽ ` )ノ

Frakturブログ

ゴシックの本場ドイツで学んだ カリグラファー「ヨウコ フラクチュール」のブログ☆

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